大山寺阿弥陀堂保存修理現場の特別公開/平成29年9月9日

2017年(平成29)9月9日、
角磐山大山寺と大山町教育委員会共催により、
大山寺阿弥陀堂保存修理現場が特別公開されました。

(1)保存修理工事について
発注者:宗教法人 大山寺
設計監理:(公財)文化財建造物保存技術協会
施工:(株)児島工務店
工事内容:
 屋根の全面葺き替え
 縁周りの痛み修理・・・縁板を半分取り換え
 壁のカビ除去
 建具の立て付け修理
総事業費:約1億6千万円
工事期間:平成28年11月〜平成29年12月
過去の主な修理は、
平成7年(1995)
昭和56年(1981)
昭和33年(1958)
年大正14年(1925)
(2)工事現場の外の様子

こけらの竹くぎ打ち付け作業。
こけら板を3cm間隔でずらして竹くぎで、打ち付け、12枚重なった部分は、
3.6から4cmの厚みになる。
一人、1日、1坪(畳2枚)くらいの作業になる。

屋根の途中に、こけら10枚に1枚の、銅版の帯が入れてある。銅の防菌効果により、
こけらの腐植寿命を延ばすのに効果があるそう。
こけら葺きの屋根の全面葺き替えは、20年から30年に一度行うそうです。
(3)こけらに竹くぎ打ち体験

(4)こけら板の作製
こけらの板は、手作業で作るという。その作業の様子。
椹(サワラ)の木片を割って、板を作る。


下の写真参照。
決められた厚み寸法の木片(写真の中央の木片)を切り出し、
その木片を、半分の厚みに割り、さらにその半分に割り、これを繰り返し
16枚のこけらにする。写真の左下の、横になっているのが
その仕上がり状態。一枚の板厚は3mm。

(5)阿弥陀堂内部
阿弥陀三尊像

写真には写っていませんが、堂の内、外に使用されている
太い、丸い柱の材料は、杉とのこと。
現在の阿弥陀堂が再建されたのは、室町時代末期、天文21年(1553)
今から、460年以上前です。使われている柱は、元の阿弥陀堂が山津波
流された後、その廃材を集めて再建されたと言われていますので、杉の材木は
もっと昔のものです。
阿弥陀堂の一般公開は、来年春以降です。
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参考資料
●「重要文化財 大山寺阿弥陀堂保存修理工事」 (当日配布資料)
日本海新聞記事
   2017年(平成29年)8月25日
   2017年(平成29年)9月10日
   2017年(平成29年)9月17日
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今回の保存修理工事に関して、当日用意されていた説明資料や日本海新聞記事でも
「こけら」と、ひらかなで書いてありました。
漢字の「杮」(こけら)は、柿(カキ)とそっくりですが、右側は縦棒1本です。