ハナイカダ/暗夜行路

大山自然歴史館主催の自然観察会で、初めて見た。葉の上に黒い豆粒がある。驚きだった。

大正3年(1914年)に1ヶ月ほど蓮浄院に滞在した志賀直哉は、大正11年(1922年)から昭和12年(1937年)にかけて発表した小説「暗夜行路」に次のように書いている。少し前の節から・・・・・彼は石の上で二匹の蜥蜴(とかげ)が後足で立上がったり、跳ねたり、からまり合ったり軽快な動作で遊び戯れているのを見、自らも快活な気分になった。
 彼は又此所に来て鶺鴒(せきれい)が駆けて歩く小鳥で、決して跳んで歩かないのに気がついた。そうい云えば烏(からす)は歩いたり、跳んだりすると思った。
 よく見ていると色々なものが総て面白かった。彼は阿弥陀堂の森で葉の真中に黒い小豆(あずき)粒のような実をひとつずつ載せている小さな潅木を見た。掌(てのひら)に大切そうにそれを一つ載せている様子が、彼には如何にも信心深く思われた。・・・・・

いにしえの時の流れを感じませんか。
阿弥陀堂あたりの散策に出かけませんか。
志賀直哉の見たハナイカダは生き続けてきたのだろうか。
阿弥陀堂は夏、涼しい所です。

写真は2007年7月22日撮影 ハナイカダ。スキャナで読み込みました。実はまだ色づいていません。